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ベランダFRP防水の補修

FRP防水はどう補修すればいい?

ベランダのFRP防水は少々厄介な防水ですので、補修するには一定の知識と経験が必要になります。このページではFRP防水の劣化症状と補修方法について説明しています

FRPは何の略?

FRPとは、Fiber Reinforced Plasticsの頭を取った略称です。Fiberは繊維、Reinforcedは強化された、Plasticsはプラスチックですから、FRP防水を日本語で訳すと、強化繊維プラスチック防水ということです。

FRPで出来ているものは、例えば水槽やモーターボートや車のバンパーなどにも使われており、防水層の中でも硬度が高くて軽いのが特徴です。

FRP防水の工程はどうなってる?

FRP防水断面図FRP防水層の断面構造はこのような工程になっています。

通常は、構造用合板いわゆるコンパネの上から施工されていますが、全部で6層になっており、特に③のガラス繊維を張る工程においてはFRP樹脂を塗布してガラス繊維を敷き、さらに上からFRP樹脂を塗布したあとに脱泡作業を行うので非常に手間がかかります。

FRP防水が浮いて剥離した画像この脱泡作業が不十分だと防水層の下に空気が残ったままFRPが固まってしまうので、将来FRP防水が浮いてきて剥離します。

剥離した防水層は撤去しなければならなくなるので、③の工程が非常に重要です。茶色く見える部分がFRP防水層が浮いていて撤去した部分で構造用合板が見えています。

FRP防水の上はくっつきにくい

FRP防水層は基本的に、一度硬化してしまうと上から何を塗っても密着しにくい性質があります。これはFRP樹脂にパラフィンワックスが混ざっているためです。

パラフィンワックスとは、ロウをスチレンモノマーで溶かしたもので、樹脂は空気と触れる面が硬化しない性質があるので、パラフィンワックスで保護するのです。こうしてできたFRP防水層はツルツルに仕上がるのです。
※うちのベランダはザラザラしてるよと思われた方、それは滑り止めのためにトップコートに骨材が入っているのです。ここでいうツルツルとは意味が違います

FRP防水の劣化症状

FRP防水が劣化するとさまざまな症状が出てきます。大切なものは今改修する必要があるのか?どういう方法で改修するのが適切なのか?を見極めることです。

FRP防水表面の亀甲状にひび割れている

FRP表面のひび割れFRP防水の最上層であるトップコートはアクリル樹脂なので、紫外線で劣化します。

軒がないバルコニーですと7~8年くらいで表層にチョーキング現象が起こり、10年くらいで表層に亀甲状のひび割れが発生してきます。
この亀甲状のひび割れが現れたら改修時期のサインです。

FRP防水層がはがれている

一度硬化したFRP防水の上から補修したとき、密着していないと簡単にはがれてしまいます。

はがれた方の底面はきれいな状態ですし、下地のFRP表面もきれいな状態です。FRP防水の上から補修する場合は全面研磨しなければならないのですが、研磨した形跡が見受けられないので、はがれて当然です。

ガラス繊維が露出している

FRP防水の劣化は表面のトップコートから始まり、だんだん防水層を侵食していきます。劣化が進むと、ガラス繊維層が見えてきますが、この状態になると早急に改修する必要があります。

ガラス繊維が露出しているFRP防水層また、FRP防水層は飛び火試験に合格していますが、ベランダでタバコを吸われる方はたいていFRP防水層を焦がしていらっしゃいます。

これは危険ですし、タバコの火を落としてしまうと防水層が溶けてガラス繊維が露出してしまう原因になるので、ベランダで喫煙するのは控えられた方がよいと思います。

FRPの改修方法は?

FRP防水の改修方法にはさまざまなやり方が存在していますが、大同防水としては一択、FRP防水の改修はFRP防水で改修する方法をお勧めします。理由は、密着性です。

FRPの上からウレタン防水を施工する方法、FRP防水の上からポリマーセメント系の防水を施工する方法、FRPトップコートだけ塗り替える方法など、さまざまな方法を試してきましたが、はがれ事故が起きました。

中には密着性が強いため研磨作業は要らないと謳う防水材もありますが、それでも大同防水はFRPはFRPで改修するという見解は変わりません。

ともかく、パラフィンワックスの存在が密着を妨げるので、FRP防水層を全面研磨しないといけません。しかし全面研磨すれば良いというものでもないのです。

最も多いのがトップコートを塗り替える方法で改修されているのではないかと思いますが、全面研磨してからトップコートを塗る、あるいは全面研磨してFRP樹脂を増し塗りしてからトップコートを塗っても、はがれてしまいます。

なので厳密にいうと、はがれやすいFRPはもう一度6層FRPを被せて抑え込むのがベストということです。

FRP防水を重ねるメリット

FRP防水6層をつくることを1PRY(ワンプライ)といいます。FRP防水の上からFRP防水を重ねるということは2PRYになりますが、現在の新築住宅のベランダFRP防水の仕様は最初から2PRY仕様になっています。

防水に厚みを付けることで耐久性を高めたり、防火認定を満たすためです。ベランダは雨がかかる部位ですし、毎日洗濯物を干される方もいらっしゃると思います。しっかりと防水性を高めておくことをおすすめします。

立上りの浮き・下地の腐食

FRP防水は稀に立上り部分の下地が腐っていることがあるので、必ず打音調査が必要です。下地が腐食していると叩くとポコポコ音がします。

下地が腐食する原因は雨漏りです。外壁から雨水が浸入し、FRP防水の裏側に回ってしまい合板が腐るのです。

この現象が見受けられたら雨漏り止め工事を行ってから下地の腐食部を張り替えて、FRP防水を被せる必要があります。

補修しなくてもいいケース

補修しなくても良いインナーバルコニーのFRP防水FRP防水の保証期間は10年ですが、15年以上経過しているのに補修しなくても良い場合があります。それは、インナーバルコニーの場合です。

インナーバルコニーとは、軒が出ているつまり上部に屋根があるバルコニーのことで通常の雨だと濡れないようなバルコニーのことです。雨に濡れにくいだけでなく軒があるため紫外線にも当たりにくいのでFRPが劣化しにくいのです。

FRP防水の表面がしっとり艶がある状態であれば補修する必要はありません。

FRP防水を長持ちさせるには

FRP防水を長持ちさせるには保護層を設けることです。ホームセンターなどで売っているジョイントタイルや人工芝を敷くと、床面が紫外線から保護できるのでFRPが長持ちします。

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