親水性塗膜とは
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親水性塗膜とは、水と馴染みやすい性質を持つ塗料のことです。
いわば、しばらくワックスをかけていない車のボディのようなものです。雨が降るとじわ~っと水がボディに馴染むように張りつきませんか?
これに対して、ワックスかけたての車のボディは水を玉のようにコロコロと弾きますよね?水を弾く性質がある塗料は「撥水(疎水)性塗膜」と言います。
現行の塗料は、そのほとんどが親水性塗膜の性質を有しています。これは、塗膜に汚れが付着したときに、塗膜と汚れの間に水を入り込ませて汚れを浮かし、洗い流そうという考え方によるものです。
なかでも光触媒は超親水性塗膜を形成し、水がべちゃ~~~~っと塗膜に馴染みます。この親水性塗膜、実はとっても危険なんです。
親水性塗膜が危険な理由
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親水性塗膜の危険性を知る為には、まずひび割れと毛細管現象の関係性を理解する必要があります。
毛細管現象とは、細い管の中に入っている水が移動する現象のことです。ひび割れが発生すると、毛細管現象によって雨水がひび割れの中に吸い込まれていきます。
そして、水と水は引っ張り合う性質を持っており、液体が表面の面積を小さくしようとする現象を「表面張力」と言います。
例えば、コップになみなみと日本酒を注いでも、こぼれずに少し丸くなって制止しますよね。これが表面張力です。
この表面張力によって、ひび割れに吸い込まれた水はさらに水を引っ張るので、どんどん水を吸い込んでしまいます。
これが雨漏り原因となるわけですが、もしもひび割れた外壁に塗ってある塗料が親水性塗膜だったら・・・どうなるでしょうか?
雨水は外壁にべちゃ~~っとなじむわけですから、ひび割れがあるとより毛細管現象の働きを助けてしまいます。
これに対し、もしも外壁に塗ってある塗料の性質が撥水性塗膜だったら、ひび割れが雨水を吸い込もうとする力よりも塗膜が水を弾こうとする力のほうが勝るので、毛細管現象が起こりにくくなります。
つまり雨漏り原因となるひび割れには撥水性塗膜が有効であり、親水性塗膜は致命的な相性であるということです。
ひび割れを防ぐ塗料には注意が必要
日本人は、どうやらひび割れを嫌悪してしまう傾向にあるようです。
外壁が割れると、前述したように雨漏りの原因になったり、見た目が不細工にるため、どうにかひび割れを隠そうとする、あるいはひび割れないように柔らかい塗料で隠してしまおうとするでしょう。
ですが、モルタルやコンクリートが割れるのは当たり前のことで、割れないコンクリートを発明したらノーベル賞ものです。
柔らかい塗料でひび割れを隠すと確かに塗膜表面はひび割れにくくなりますが、同時に建物の通気性を損なってしまいます。
建物にとって呼吸は、私たち人間と同じくらい大切な機能なので、呼吸を妨げてはならないのです。
例えば、壁の中にはグラスウールという断熱材が入っていますが、この断熱材も呼吸できるように実はビニルに穴が開いているのです。もし呼吸ができなくなってしまうと断熱材が湿気てしまい、カビの温床と化してしまいます。
また断熱材は一度湿ってしまうと断熱性能を著しく損なってしまうので、目に見えないところで大切な我が家が蝕まれていく恐れもあります。
このように、建物は通気性を維持するために呼吸をする必要があり、外壁の塗り替え工事にも、塗料の選択によっては大きなリスクを伴う可能性があるということを覚えておかなくてはなりません。
割れても雨水が浸入しなければ良い
「ひび割れても雨水が浸入しなければ良い」という考え方なのが大同防水です。割れるということは空気がそこから逃げるということですよね。
ということは割れていなかった以前の状態よりも、外壁の通気性は高いことになります。
建物の寿命と通気性は密接な関係があるので、最も重要なのは通気性能なのです。