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塗装業界でよくある手抜きの方法と予防策

外壁塗装工事で最も心配なのは、手抜きをされるのではないかということだと思います。

お客様におかれてもホームページを見て社長の顔や職人の写真を見て、この人なら手抜きをしないかも・・・なんて想像されているのではないでしょうか。工事中もお施主様がずっと見ていられるわけではないので、特に心配されることだと思います。

手抜きはしません!というのは誰でも言えることですが、残念ながら手抜きは当り前のように行われているようです。たいてい手抜きをするのは見えなくなる部分です。

あらかじめ手抜きの方法を知っておけば予防することもできますので、参考にしてください。

塗装業界で代表的な手抜きの方法

まず最初に、塗装業界で代表的な手抜きの方法を説明いたします。

業者は手抜きをすることで、材料費を少なくしたり人件費を削り、利益を増やすことができます。格安業者などの場合は、利益を出すために手抜きをすることもあります。その分、耐久性が悪くなることが多いので注意が必要です。

手抜き1:塗り回数を減らす

外壁塗装で一般的な塗り回数は3回塗りです。高圧洗浄をした後、下塗り→中塗り→上塗りの3回塗るのが基本です。

下塗り材は下塗り専用のものを使用し、中塗りと上塗りは同一の塗料を使用します。下塗りを塗らずに塗装すると、塗膜が剥離するリスクが高くなるため、手抜きをするなら中塗り・上塗りの工程です。

なぜなら、中塗りと上塗りは同じ塗料で同じ色を2回塗るからです。中塗りと上塗りに同じ色を塗る場合、1回塗ったものと2回塗ったものとでは、素人さんには見分けはつかないと思います。もちろんプロが見ればすぐにわかります

そのため、中塗りか上塗りのいずれかを省略するのが、一番バレにくく手抜きしやすです。特に、樋の裏側や破風・付帯部の塗装など手間がかかる部位は手抜きがされやすいです。

塗る回数を減らせば、「材料費の削減」や「人件費の削減」になるため、このような手抜きが行われます。

手抜き2:塗料を薄める

塗料にはあらかじめメーカーが定めた希釈率があります。例えば希釈率が5%の塗料は、原液を5%まで希釈しても良いということです。

メーカーが定めた希釈率を無視して20%で希釈すれば、少ない塗料で広い面積を塗ることができることになり、材料費を削ることができます。しかし、薄い塗料で塗ってしまうと、正しく塗った塗装よりも耐久性が劣ります

最近では、塗料を薄めるなんて大胆なことはなくなったと思いますが、昔は良く聞いた話です。

手抜き3:契約仕様とは異なる塗料を使う

・実際はフッ素塗料を塗る契約になっているのにシリコンを塗る

・シリコンを塗る契約になっているのにウレタンを塗る

など、契約仕様とは異なる低いグレードの塗料で塗装する手抜きの方法です。

当たり前ですが、グレードの高い塗料よりも低い塗料の方が安いため、お客さんには高い塗料の金額を請求して安い塗料を塗ることで、差額分を利益にできます

見た目だけでは、フッ素もシリコンもウレタンもまったく見分けが付かないです。

手抜き4:曖昧な出荷証明書を使う

出荷証明とは、業者がメーカーから塗料をどれだけ購入したかを文章で証明してくれる証明書です。「塗装する際に、出荷証明を見せてもらえれば安心だ!」と思うかもしれませんが、出荷証明書も曖昧な部分があります。

メーカーによって異なりますが、「実際の出荷数が必要缶数の80%以上の数なら、100%出荷したことにして証明する」とか、「90%以上ならOK」という基準があります。

例えば、本当は6缶必要なのに6x80%=4.8缶(5缶)出荷していれば、出荷証明書には6缶と記載してくれるのです。これでは出荷証明書は意味がありませんよね。

ただし、この場合メーカーには上手な言い分があります。残りの20%の材料は在庫を使用した、という前提になっているのです。

例えば、塗装業者としては現場毎に材料を購入するよりも、年間に使う材料をあらかじめ大量購入した方が仕入れ価格は下がります。その場合、現場ごとの出荷証明はどうするのか?ということになります。

どの現場でも使用する下塗り材を100缶購入したとすれば、当然100缶分の出荷証明書が発行されます。これを分割して現場ごとに発行することもできますから、曖昧になりやすいのです。

手抜き5:シーリングを打ち替えたように見せて増し打ちする

シーリングの打ち替えと増し打ちの違いは以下の通りです。

■打ち替え
既存のシーリング材を撤去してから新しいシーリング材を注入する方法。

■増し打ち
既存のシーリング材をそのままにして、上から新しいシーリング材を注入する方法。

打ち替えに比べ、増し打ちは既存のシーリングの撤去が必要なく、材料も少ないので安くなります。契約ではシーリング打ち替えとなっているのに、実際は増し打ちにするのも手抜きのひとつです。

養生テープを剥がせば一見シーリングは打ち替えたように見えますし、さらにその上から塗料を被せるので全く気付かれません。シーリングを切り取らない限りは…。

公共工事やマンション改修などでは、サンプリング検査をしたり、あるいはシーリングが硬化した時点でランダムに切り取り検査を行う場合もありますが、住宅市場ではそこまでされることは少ないです。

なぜ手抜きをするのか?

そもそも塗装職人がなぜ手抜きをするのか?手抜きをさせないようにするためには、まずその根本的な要因を分析する必要があります。

理由1:請け負った仕事の報酬が少ない(安い)から

「請け負った仕事の報酬が少ない(安い)から手抜きをするしかない」というのは、下請けに仕事を丸投げする会社でよくある例です。

下請けが、本来なら30万円貰える仕事を20万円でやらされた場合、利益を出すために手抜きをするしかないわけです。報酬が安い仕事はできるだけ早く終わらせて、数をこなすしかなくなります。

また、元請けだとしても無理な値引きをすると手抜きをされることもあります。

理由2:監督が現場に居ない

「監督が現場に居ない」という例も、下請けに仕事を丸投げする会社でよくあります。

手抜きができる環境にある、つまり現場監督が常駐して見張っていないから、職人はいつでも手抜きができるのです。ひと度、色が付いてしまえば塗り回数はわかりません。

監督が居ない環境ならいくらでも手抜き出来てしまうわけです。

詳しくは、塗装工事には現場監督が必要な理由で説明しています。

理由3:手を抜くことが癖になっている

長年安い仕事ばかりを請け負ってくると、手抜きをすることが癖になってしまいます。

私も自社以外の職人や新しく雇用した職人と話すことが多く「え?樋は2回塗るのですか?他所では1回塗りですよ…」こんなことを言われることが多いです。

つまり、しっかりとした親方の元で教育を受けていない職人は、樋を1回しか塗っていないということが予想されます。

理由4:塗料が進化した

昨今の塗料は艶がものすごく出るようになっていて、1回塗っただけでもピカピカに見えるので、手抜きがしやすいです。

それとも樋を1回しか塗らない職人が多いから、塗料メーカーが対策として1回塗りでもピカピカになる塗料を開発したのでしょうか…。

手抜きを防ぐ方法

私は、手抜きをしてまで会社を運営したい人を理解することはできません。職人の本質がまったくなっていないなと思います。

このような悪質な手抜きを未然に防ぐには、以下の方法があります。

・中塗りと上塗りの色を変えて貰う
・必要数量積算表を出してもらう
・工事写真帳を提出してもらう
・シーリング工程は撤去した時点で立ち会うか、撤去したことが分かる写真を提出してもらう
・リフォーム瑕疵保険に加入する

当り前のことを当り前にやっている業者なら、嫌がらずにYESと言うはずです。何かの不都合があるとNOと言ってくる可能性がありますが、その場合は納得できなければ注文しなければ良いのです。

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