塗装で雨漏りは止まるのか?
結論から申し上げますと、塗装で雨漏りを止めることはできません。
このページでは、塗装だけでは雨漏りを直せない理由と、塗装と防水それぞれの役割についてご説明いたします。
塗装の役割
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塗装には美観を維持する役割と、建物を保護する役割があります。
では雨の浸入を防ぐ役割は?といえば、それは塗装ではなく防水の範疇になります。
塗装と防水の違いをわかりやすく言えば、塗装は紙風船、防水はゴム風船です。紙風船は空気や湿気を通しますが、ゴム風船は空気も湿気も通しません。
つまり、塗装自体には本来雨水の浸入を防ぐ役割はないのです。なぜなら、空気を通さねばならないからです。
住宅の寿命と水分の関係性
外壁は空気を通す必要があります。それは住宅の寿命が湿気に直結するからです。
例えば、木造住宅は木で出来ていますよね。木はもともと幾らかの水分を含んでいますが、この水分の量(含水率という)がある一定の量を超えると好ましくないのです。
木材の含水率が25%を超えるとセルロースが分泌され、これがシロアリの大好物なんです。また木材腐朽菌が繁殖し、木が腐る恐れもあります。
だから、最近の住宅は基礎がすべてコンクリートで出来ていたり、外壁の間に空気層が設けてあるのです。これらはすべて木の含水率が上がらないようにするためです。
このように住宅は通気性を有する外壁でなければならないわけです。では紙風船とゴム風船、どちらで覆った方が良いですか?空気を通す紙風船ですよね。
もしもゴム風船で外壁を覆ってしまうと外壁の通気性は限りなく0に近いものになってしまいますから、壁の中や床下に湿気が溜り、木材がその湿気を吸収してしまう=含水率が高くなるわけです。含水率が高くなると・・・?!
いかに危険なことか想像つきますでしょうか。
雨水の浸入を防ぐのは「一次防水」と「二次防水」
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外壁に通気性がないといけないということは、塗装では雨水の浸入は防げないということになりますが、ではどこで雨水の浸入を防いでいるのか?
それは壁の中で防いでいるのです。外壁には一番構造体に近い部分に防水シートが張ってあります。その上にサイディングを張ったり、モルタルを塗ってあるわけです。
この防水シートを「二次防水材」と言います。そして、一番外側に露出して雨水の浸入を防ぐ役割を担うシーリングなどのことを「一次防水材」と言います。
一次防水材と二次防水材のタッグで雨水の浸入を防いでいる、もっと言えば二次防水材が雨水の浸入を防ぐ大きな役割を果たしているのです。
つまり塗装してもしなくても、この二次防水材である防水シートが健全な状態である限りは、建物内に雨水は浸入しないのです。
雨漏りを防ぐ為には二次防水が重要
例えばですが、雨漏りしている家の雨漏りを止めるのに100%と言える方法があります。それは、屋根をかぶせて壁も防水することです。
しかし、それで雨漏りは確実に止まりますが、家の通気性はなくなってしまうので家が腐っていくことになります。
ですから、何でもかんでも塗ればよいというものではなく、通気性のある塗材を塗らなければならないのです。先ほどお話ししたゴム風船ではなく、紙風船ということです。
塗装はあくまで仕上げです。シーリングや塗装などの一次防水レベルで雨水の浸入を防ぐのは、どうしてもそれしか方法がない場合に限ります。
もちろん塗料の中には防水性を謳っているものもありますが、本来は二次防水レベルで雨漏りを防ぐべきなのです。