複数社から見積もりを取ってみたものの、どこが工事に含まれていてどこが含まれていないのか、わかりにくくはないでしょうか?
外壁や屋根の塗料は高耐久なものを選ぶのに、付帯部は疎かになりがち・・・。実は付帯部の方が早く劣化するので付帯部こそ重要です。
このページでは、住宅で塗装メンテナンスが必要な部位の名称をわかりやすく解説しています。
塗装が必要な家の部位の名称
外壁塗装工事では一般的に左図の部位も塗装します。仮設足場があるうちに出来るメンテナンスは、一緒にやっておくのがベストです。
各部の名称は聞きなれない名前ばかりだと思いますので、各部位の役割やメンテナンス方法を説明していきます。
外壁塗装をお考えで相見積をとられる前に、お家の塗装メンテナンスが必要な部位の名前を覚えておかれることをお勧めします。
どこを塗ってどこを塗らないのかを確認しないと、業者間に金額の差が生じてしまい、一見安いと感じても実は見積もりに入ってなかったなんてこともあるかもしれませんので、ご注意ください。
鼻隠し(はなかくし)
軒樋(のきどい)の裏にある板のことを鼻隠し(はなかくし)といいます。
鼻を隠す?実はこの鼻隠しは屋根の先端部分の断面を隠しているから鼻を隠す→鼻隠しと呼ばれています。
軒樋は鼻隠しに留め付けてあるため、鼻隠しの塗装には軒樋が邪魔といえば邪魔です。狭い部分なので細いローラーなどを使って丁寧に奥まで塗装しなければならない部位です。
胴差(どうさし)
そのほかには、1階と2階の中間部にベルトのような板が回してある部分のことを胴差(どうさし)とか化粧胴差(けしょうどうさし)といいます。
胴差には画像のようにモルタルでかたどったものや、窯業系サイディング材で出来たもの、金属製のものもあり、それぞれ素材によって使用する塗料の種類が変わります。
破風(はふ)
雨樋が取り付けられていない妻側の三角の部分に取り付けられた板のことを破風(はふ)と呼びます。
風を破ると書いて破風なので、風が屋根裏に入るのを防ぐ役目があります。もちろん雨の浸入も防いでいます。
陽当たりがよく雨がかかる破風は最も早く劣化する部位なので、しっかり塗装で保護してあげる必要があります。
竪樋(たてどい)
屋根を流れる雨水を軒樋(のきどい)で受け止めて地中の土管まで誘導するパイプを竪樋(たてどい)といいます。
樋の素材は、塩化ビニル、ガルバリウム鋼板、銅、アルミニウム、ステンレス、塩ビ被覆を施したヒシメタルなどがありますが、一般的には塩化ビニル製が多く塗装メンテンスが必要です。
軒天(のきてん)
屋根は外壁より長く飛び出すように造られていますがこれを軒(のき)といい、軒の裏側のことを軒天(のきてん)とか軒天井(のきてんじょう)といいます。
軒天の素材は、木、ケイ酸カルシウム板(ケイカル板)、ガルバリウム鋼板などがあり、一般的にはケイカル板が多いです。
軒天は屋根裏に溜まった湿気を通すため、通気性のある塗料で塗り替える必要があります。外壁に塗る塗料をそのまま塗ってはいけません。
ベランダ笠木(かさぎ)
ベランダの手摺りの下についている金属製のカバーのことを笠木(かさぎ)といいます。
笠木の素材はアルミ、ガルバリウム鋼板、スチールなどがあり、アルミ以外は塗装メンテナンスが必要です。
アルミであっても傷が目立っていたり色褪せが見られると専用プライマーを使って塗装することもあります。
霧除け庇(きりよけひさし)
窓の上部に飛び出した部分を霧除け庇(きりよけひさし)といいます。野球のキャップでいうつばのように、雨や直射日光を防ぐためのものです。
霧除け庇の素材は、スチール、ガルバリウム鋼板、銅、アルミなどがあり、一般的にはスチールかガルバリウム鋼板が多く塗装メンテナンスが必要です。
土台水切り(どだいみずきり)
基礎の上にある金属製の金物のことを土台水切り(どだいみずきり)といいます。土台水切りは、外壁と基礎の取り合う部分をきれいに見切るためであったり、外壁材の裏を通った雨水を外に排出させるための部材です。
土台水切りの素材は、スチール、ガルバリウム鋼板、アルミなどがあり、一般的にはガルバリウム鋼板が多く塗装メンテナンスが必要です。
スリムダクト
エアコンの配管をきれいに隠すためのカバーのことをスリムダクトといいます。配管化粧カバーともいいます。
エアコンの配管は壁に穴を開けて通すので、スリムダクトでカバーすることで雨水浸入を防いだり、配管の劣化を防いだりする目的がありますが、見た目もきれいになります。
素材は塩化ビニルで、塗装しなければならないものではありませんが、樋と同様に塗装した方が見た目が良いので塗装しています。
なお、スリムダクトを塗装する・しないに関わらず、裏側の外壁を塗装するために脱着する必要があります。
アルミ手摺
ベランダのアルミ手摺は基本的には塗装しない部位ですが、弊社では塗装して欲しいという依頼が多いので塗装しています。
20年くらい経過すると、手摺りに傷が入ったり色が褪せたりするので、塗装せずに残すとかえって目立ったりしますよね。
アルミ部分は塗装がくっつきにくいので、専用のプライマーを塗ってから塗装します。ただし、元々カラーアルミは工場で焼付塗装されているので剥がれにくいのですが、現場塗装では同じ品質にはならないので、塗装後はこすったりしないように留意が必要です。
付帯部塗装は下地処理が重要
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素地調整
塗装前にサンドペーパーでこすって傷をつけます。こうすることで塗料がくっつきやすくなります。
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さび止め塗装
金属は必ずさび止め塗装を行ってから上塗りします。この後上塗り塗料を2回塗ります。
付帯部の塗装は下地処理が命です。樋などの塩ビ部分や霧除け庇などの金属部分は塗装前にサンドペーパーで研磨してから塗装工程に入ります。
塗装下地に小さな傷をつけて塗料がくっつきやすくすることをエッジングといいますが、これをせずに塗装するとかんたんにはがれてしまいます。
また、さび止め塗料にも種類があり、塗料缶から出したらすぐに塗装できる1液タイプと、主剤と硬化剤を混ぜなければならない2液タイプがあり、2液タイプのさび止め塗料の方が性能が高く長持ちします。
付帯部は外壁よりも早く劣化しますので、付帯部こそ高耐久な塗料でのメンテナンスをお勧めします。