掘り込み車庫とは、住宅が道路よりも高い位置に建てられている場合に、その高低差を利用して敷地の一部を掘り込んで駐車スペースを設けている車庫のことを言います。
掘り込み車庫の上に家が建っているようなケースでは、庭の土が沈む現象が発生する可能性があるため注意が必要です。
このページでは地盤沈下が起こるの原因と補修工事の流れをご説明しています。
地盤沈下とは
地盤沈下とは、地面の表層が徐々に沈んでいく現象のことです。地盤沈下が原因で起こる症状の代表的なものとしては、玄関床タイルの割れや目地に隙間ができることが多くあります。
似たような言葉で「不同沈下」というものもありますが、これは軟弱な地盤の上に建物を建てたことが原因で建物が傾いていくことを言います。
このページで扱っている地盤沈下の事例も、そこまで大きなものではないものの、庭や犬走りなどの土や地面のコンクリート、各種仕上げ材が沈下して地面がひび割れるなどの症状が起きていました。
地盤沈下の原因考察
この物件は、掘り込み車庫のコンクリートの上に土が埋め戻されており、その上に住宅が建てられていました。
この盛られた土が降雨などで水分を吸い込み、それに伴って空気が入っていた部分の隙間が無くなり土が締まったことで陥没したものと考えられます。
このような事象は、土の中に埋設されている土管や、水を溜める役割がある枡の裏側(赤矢印参照)に空気が入っていたり、配管から水が漏れ出して起きるケースが多いです。
また、こういった沈下は一気に起こるのではなく、徐々に起こっていくため中々気付きにくいのが特徴です。
補修前の状況
そもそもこちらのお宅は外壁塗装工事のご依頼でしたが、現地調査に伺うと地盤沈下が起こっていることが判明しました。
地盤沈下が進行して不同沈下を起こしてしまうと、外壁のメンテナンスどころの話ではなくなってしまいますから、まず地盤沈下を修復することをご提案しました。
複数社から相見積もりは取られていらっしゃいましたが、地盤沈下のことに触れたのは大同防水だけだったそうです。
沈下によってマンホールや枡が傾いたり、コンクリートが割れたりすると、見える部分だけでも綺麗したいと思うかもしれませんが、沈下自体を修復しなければこれらの現象は再び起こってしまうことになるので、しっかりと補修を行う必要があります。
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地盤沈下でコンクリートが破断している
地盤沈下によって昇降用のコンクリートステップが大きくひび割れ、建物の基礎と肌別れしています。
また左側にコンクリートの塊らしきものが露出しており、おそらく工事中に余ったコンクリートを土の中に埋めて処分したものと思われますが、それが露出しているということは10㎝以上、土が沈んだことになります。 -
マンホール(枡)が歪んでいる
マンホールが歪んでいます。
ここまで歪んでいると土の中の配管も曲がっているか、折れている可能性があり、雨水が漏れ出してしまうとさらに沈下が起こるリスクがあります。
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階段前に生じた段差
階段の前が地盤沈下によって段差が生じています。もしもこの段差で躓いたりしたら、階段を転落してしまうので非常に危険です。
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段差の拡大画像
3~4cmほどの段差ができており、靴のつま先を引っかけるには十分な段差です。階段はただでさえ危ないのに、踊り場に段差があると危険度は増してしまいます。
地盤沈下の補修方法
それでは、補修工事の流れを見ていきましょう。
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掘削作業中
小型掘削機(ユンボ)をレッカーで搬入して、土を掘り返す掘削作業から始めます。
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土管撤去
土の中の配管を交換するため、古い土管を撤去します。
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配管・枡を交換します
枡のレベル・勾配を調整して、新たに配管をつなぎ直します。
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締固め
配管を取り替えて土を埋め戻したら、締固めをします。
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踏み台新設
地盤沈下の補修が完了したら、コンクリートの踏み台を新設して完了です。
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階段の段差補修完了
仕上げのインターロッキングを施工し、階段との段差が無くなり完了です。水勾配も改善しました。
早めの点検診断を
いかがでしたでしょうか?
こちらのお宅は外壁塗装工事のご依頼でしたが、その前に地盤沈下を直す必要がありました。約2週間の工期をかけて沈下を補修し、地盤が凝固になってから外壁塗装工事を行いました。
地盤が沈下したものは放っておいても直りませんし、沈下が止まることもありません。むしろ土の中に空隙ができてしまうと降雨によってより沈下が進むことがあるので、早めの点検診断をおすすめします。
まとめ
地盤沈下とは、地面が徐々に沈んでいってしまう現象のことです。
掘り込み車庫の上に住宅が建っている場合は地盤沈下が起こる恐れがあるため、このようなお家に住まわれている方は、玄関タイルが割れたり、目地に隙間が生じていないか定期的にチェックしておくと安心です。
また、地盤沈下は放っておくとさらに状況を悪化させてしまうので、タイルや目地などに破損がみられる際は、まず沈下を直してから補修工事を行うようにしましょう。