
二階に玄関があるお宅などには鉄骨階段がありますが、この鉄骨階段が年数が経ってくると厄介な問題が起こってきます。
このページでは、鉄骨階段のトラブル原因や正しい補修方法、DIYの方法などについてまとめています。
目 次
鉄骨階段のエフロレッセンスや塗装が剥がれるケース
鉄骨階段の鉄部に塗装してもすぐに剥がれてしまったり、踏面(ふみづら)にタイルなどを張っている場合、白い汚れ(エフロレッセンス)が流出したりするケースがよくあります。
玄関が二階にあるようなお宅の場合は外部に鉄骨階段があるのでよく見られるトラブルですが、この現象が起こるメカニズムを理解していないと無駄な工事を行ってしまうことになるので注意が必要です。
こちらのお宅は過去にも白い汚れ(エフロレッセンス)が流出したことで、階段のササラと蹴込み(けこみ)部分に塩ビシートを張られた経緯がありますが、結局また同じようになってしまったとのことです。
鉄骨階段のエフロレッセンスや塗装が剥がれる原因
白い汚れはエフロレッセンスといい、コンクリートに含まれるカルシウム成分が水に溶けて表面にしみ出し、空気中の炭酸ガスに触れることで起こる現象(炭酸カルシウム)です。山口県の秋芳洞のつららと同じ成分です。
タイル自体は割れない限り水を通しませんが、タイルとタイルの間の目地(めち)は水を通すので、目地部分から雨水が染み込んでしまいます。
鉄骨階段の構造
問題は目地から吸い込んだ雨水がどこに行くのかということです。
鉄骨階段の構造はどうなっているかというと、鉄骨階段の裏側を見ればわかります。
鉄骨階段の裏側を見ると鉄で覆われていることがわかります。鉄骨階段はこのように、一段一段が鉄の箱状になっているので、水が溜まってしまうのです。
この箱状の部分に鉄筋を敷いてモルタルを流し込み、タイルなどを張って階段にしているのです。
つまり、タイル目地から染み込んだ雨水が階段の一段一段鉄の箱状の中に溜まっていくことで鉄が常に湿っている状態になるので、表側を塗装してもすぐに剥がれてしまうわけです。
ですから、塗装し直しても、鉄部にシートを張ったとしても、背面が湿っているので剥がれてしまうのです。
鉄骨階段のエフロレッセンスや塗装が剥がれる対策
このようなトラブルの元は、鉄の箱の中に雨水が溜まっていることですから、この水分を抜いてやることが対策になります。
画像のように、一段一段の背面にドリルで水抜き穴を開けます。穴の大きさは特に指定はありませんが8㎜程度がちょうどよいと思います。
また、穴の数にも指定はありませんので真ん中に1カ所、あるいは左右に2カ所程度で良いと思います。ただし、鉄が厚いので穴を開けるのも一苦労でドリルの刃がすぐに傷みやすいので、予算に応じて数を決めると良いと思います。
鉄骨階段の防水改修方法
鉄骨階段の背面に水抜き穴を設けるだけで、エフロレッセンスや塗装の剥がれは起こらなかったと思いますが、意味のない塩ビシートを蹴込みに張ってその上からエフロレッセンスで汚れていたので、今回はこのシートもタイルも剥がして改修しました。
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ビフォー
タイルが張ってありエフロレッセンス、塗装の剥がれが繰り返されていた
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アフター
かいだん用防滑塩ビシート張りで滑らなくなり防水も完璧です
鉄骨階段の腐食とDIY
いかがでしたでしょうか?これで鉄骨階段の防水は完了したので、鉄の箱の部分には雨水は入りません。さらに裏側に水抜き穴を設けてあるので、箱状の中のモルタルに含まれる水分は穴から放出されます。
鉄骨階段が腐食してしまうと強度が落ち、階段としての役割を担えなくなってしまうので、早めに正しいメンテナンスを行うことが重要です。
当たり前ですが、鉄骨階段の箱状の部分が常に水に漬かっている、水分が存在している状態だと鉄が錆び、ゆくゆくは腐食して穴が空いて来たり、鉄が湾曲してきたりするので注意が必要です。
DIYでできることは、水抜き穴を開けることが最も有効です。水が溜まっていると穴を開けた瞬間にポタポタ水が落ちて来ます。
水滴が落ちて来なくなっても中が乾燥するまでしばらく時間がかかりますから、すぐに塗装しない方が良いです。