屋根の塗装が剥がれることは少なくありません。普段見えない部分だからこそ、屋根の塗装は外壁塗装以上に注意する必要があります。
ここでは屋根の塗装が剥がれる原因やタイミングなどを分かりやすく説明しています。
屋根塗装が剥がれてくる年数
屋根の塗装が剥がれるトラブルは少なくありません。実は屋根の塗装が剥がれているお宅はたくさんありますが、お施主様は屋根が見えないため気付いていないのです。
そして剥がれてくる場合、だいたい塗装後3年を境に剥離現象が現れ始めます。
どうして3年を境に剥がれて来るのかはわかりませんが、推察するに最初の3年間はどのように塗装していても密着はするが、それ以上密着し続けられるには一定の条件をクリアしていなければならない、ということだろうと考えています。
その条件は、適切な下地処理を行うこと、下地の乾燥が十分であること、下地に密着する塗料であること、この3つが主な条件になります。
逆に言えば、この3つのどれかが満たされていないと塗装が剥がれてしまう可能性が高くなると言えます。
屋根塗装を業者に依頼する場合は、ドローン撮影のアフター点検がついているかどうかを確認されてから注文されることをお勧めします。
屋根塗装が剥がれる原因
塗装が剥がれたときは、まず原因を知ることが重要です。
上記の3つの条件すべてを満たしているのに塗装が剥がれる場合は、一部ではなく全面に剥離が起こるはずです。しかし、一部にだけ剥離が見受けられるのであれば、その一部に他の部位とは異なる条件があったと考えるのが自然です。
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下地処理不足による屋根塗装の剥がれ
塗装が剥離した部分の下地が白いのは、スレート屋根の素地が見えているからです。新築時のスレート屋根にも塗装コーティングが施してあったはずですが、既存塗膜がすべて剥離するほど劣化していたことを示しています。
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熱の影響による塗装の剥がれ
塗膜はかろうじて繋がっていますが、あちこち膨れていて今にも破裂しそうな状態です。見ていても気持ち悪いですね・・・
原因1.下地処理不足による屋根塗装の剥がれ
下地処理が不足していると塗装が剥がれる原因となります。
新築時の屋根材には塗装コーティングが施してありますが、経年劣化で塗装が傷んできてだんだん剥がれて来ます。特に20年近く経過するとスレート表面の塗膜はほとんど剥がれてしまい、白くなります。
下地処理の不足によって剥がれている状態から塗装を行うには、下塗り材をしっかりスレートに染み込ませて固め、かつ表面に下塗り材の層を形成しなければなりません。この作業を怠ると、上塗り材が密着せずスレート素地に吸い込まれてしまいます。
また剥がれて露出した部分が白いということは、下塗り材が薄かったかそもそも下塗り材を塗っていない可能性もあります。
原因2.熱の影響による塗装の剥がれ
熱の影響で塗装が膨れたり剥がれてしまうことがあります。これも密着不良が原因ですが、下塗り材と素地の相性が悪かったり、あるいは下塗り材を塗っていない場合に膨れが生じることがあります。
上の右の画像は下塗り材を塗っていないか、薄すぎたために熱膨れを起こしています。また、上塗りに使用した塗料が膨れを引き起こしやすい弾性塗料である可能性もありますが、屋根に弾性塗料を塗るケースはほとんどありませんので、どちらにしても塗装が膨れたり剥がれたりする条件で塗装されていることがわかります。
このような状態になっていることをお施主様は気付いていらっしゃいません。なぜなら屋根は普段は見えないからです。
屋根は外壁と比較しても1.5~1.8倍速く傷みますから、過酷な条件下で塗膜を形成させなければならないのです。それには十分な知識と屋根毎に違う劣化状態に適した施工方法を検討する必要があります。
屋根塗装が一部剥がれている事例
ご説明したとおり、塗装が剥がれる原因の多くは密着不良であると言えます。しっかりと密着していれば、物損でもしない限りは塗装は剥がれません。
例えば、そもそも密着しない相性の悪い塗料を塗ってしまった場合、あるいは熱の影響を大きく受ける部位などにのみ剥がれが起こる場合など、密着が弱ければ簡単に剥がれてしまいます。
下の画像は屋根塗装の剥がれが発生している様子です。
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屋根の塗装が剥がれた画像
屋根の塗装が一部剥がれています。こちらの現場は2年目の点検までは異常はありませんでしたが、3年目の点検で一部剥がれが見つかりました。
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施工時の状態
塗装施工時は屋根勾配が6寸以上だったために屋根足場を組んでおり、ジャッキベースが屋根に接していた部分が剥離していることがわかりました。
ジャッキベースが屋根に接しているということは、本来であればジャッキを持ち上げて塗装しなければなりません。ですが、ジャッキベースは複数存在しており、安全面からすべてを同時に持ち上げることはできません。
持ち上げるジャッキと持ち上げないジャッキを決めて、最低でも2回に分けて施工しなければならず、これには手間がかかりますので屋根全体を塗装しながらジャッキの下も同時に施工して行く必要があります。
この現場では勾配がきつかったこともあり、おそらくそうした施工手順に何らかの落ち度があって、さらに下地の乾燥も不十分であったなどの原因で密着不足が起きたと考えられます。