住宅の外壁にひび割れが発生しやすい部位は?

画像のように、モルタル壁の住宅にはひび割れ(*クラック)が発生しやすい部位があります。
ひび割れは日当たりが良い面や窓などの開口部周り、ベランダの手すり壁、基礎などに発生しやすいです。
一度ご自身でチェックしてみてくだされば、画像のような箇所にひび割れが確認できるはずです。
ひび割れがあると雨漏りするんじゃないかと不安になって、ホームセンターでシリコンコークを買ってきて自分で充填、なんてしてしまいがちですが、これは絶対にやってはいけません。
ひび割れ補修は外壁塗装に併せて適正な方法で補修しなければなりません。
*クラック・・・建物の外壁や内壁、基礎などにできる亀裂やひび割れのことです。なのでクラックは業界用語、ひび割れとクラックは同じ意味です。
外壁はひび割れても大丈夫なの?
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コンクリートやモルタル壁にひび割れが発生していると、壁が落ちてくるんじゃないかとか、水が入って雨漏りするんじゃないかとか不安になりませんか?
あるいは、業者からそのような指摘を受けたことはないでしょうか?そんなことを聞くと不安になられると思います。
ここでは外壁のひび割れについて、一級建築施工管理技士、国交省指定監理技術者の品川が正しい知識をお教えいたします。
外壁がひび割れる3つの理由(要因)
まず、コンクリートやモルタル壁がどうしてひび割れるのか、ご存知でしょうか?
一般の方の想像では地震でひび割れてしまうと思われているのではないかと思いますが、実はひび割れが発生するメカニズムは地震だけではありません。
モルタルやコンクリートは、熱変動や乾燥する際にもひび割れることがあります。
たとえば日中は外壁に陽が当って温度が高いのに、陽が沈むと温度が下がりますが、この温度変化によって外壁が収縮しひび割れが発生することがあるのです。
また、施工中にモルタルを壁に塗っているときに急激に乾燥したりするとひび割れてしまいます。
このように外壁のひび割れには熱収縮によるもの・乾燥収縮によるもの・地震によるものの3つの要因があるわけです。
ひび割れ補修の仕方(方法)
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ひび割れ補修の仕方は構造によって異なります。
Uカットシーリング工法と言って、ひびわれを削って溝を作り、中にシーリング(コーキング)材を埋め戻すやり方はコンクリートのひび割れ専用の補修方法です。
このUカットシーリング工法をモルタル壁の住宅に採用すると大変な問題が起こってしまうので要注意です!
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モルタル壁の住宅の外壁の構造はこのようになってます。防水シート(アスファルトフェルト)の上にラス網を張り、その上からモルタルが1センチ程度塗ってあります。
そもそもひび割れはこのモルタル層のみが割れている状態で、下層には防水シートがあるのでこの防水シートが破れていなければ雨漏りすることはありません。
※防水シートまで破れているかどうかは弊社の赤外線カメラで見ればわかります
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そしてもし、このモルタル壁のひび割れをUカットシーリング工法で補修すると、もともと1センチしか厚みのないモルタル層を削るわけですから、削りすぎてしまうとラス網だけでなく防水シートも切断してしまう恐れがあるのです。
よって、モルタル壁のひび割れ補修はUカットシーリング工法はやってはいけないということになります。
比較的小さなひび割れなら微弾性フィーラーを原液で刷り込むか、アクリル系シーリング材を充填するのがベストです。この方が補修個所が“みみず腫れ”になったりせず、綺麗に仕上がります。