汚れにくいはずの低汚染塗料が1年で…
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外壁を塗り替える理由のひとつに、汚れてきたから、があります。言い換えれば汚れなかったら塗り替えようとは思わないことになります。
写真の建物は塗り替えて1年の現場です。(他社施工)低汚染セラミック塗料の謳い文句を信用して選んだのに、1年で汚れてしまったなんて悲しいですよね。
昨今の塗料は、紫外線で汚れを分解する光触媒を筆頭に、汚れにくいメカニズムのセラミック系塗料が主流となっていますが、これが前評判を裏切って汚れてしまうというトラブルが意外と多いんです。
低汚染塗料なのになぜ汚れるのか?
外壁が汚れてしまう大きな要因のひとつは雨だれです。これを業界用語では雨筋じ汚染と呼びます。雨が流れたような跡が黒く外壁に残ってしまう現象です。これは低汚染型塗料を使っても汚れることがあります。
それは、低汚染型セラミック系塗料は、塗料の中に含まれるセラミック成分が塗布後1週間~2週間かけて塗膜の表面に配列されるメカニズムとなっており、このセラミックが整列する間に雨にあたってしまうとセラミックが綺麗に配列しないのです。
三日に一度は雨が降る我が国日本ですから、このメカニズムが働くようにするためには工事中に仮設の屋根でも設置しなければ、良い条件でセラミック配列が行われないことになります。つまり現実的ではないということになります。
あるいは光触媒塗料においての汚れは、上塗りの塗り残しがあると、その部分だけ真っ黒に汚れてしまいます。
最後に、塗料の性能だけではどうにもならないのが構造です。例えば外壁の頂上が斜めになっていたり、霧除け庇の先端が水切り形状になっていなかったりすると、雨が外壁を伝うので、洗い流そうとした汚れだけが残ってしまうことがあります。
これは、塗料の低汚染機能に頼っても間に合わないので汚れてしまうのです。
汚れにくくするには雨仕舞いと汚れ対策が重要
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雨水の流れを把握しコントロールすることを雨仕舞い(あめじまい)と言います。
例えば霧除け庇はそのままでは鼻先を汚してしまうので、上部に水切りを取り付けてやる。こうすることで庇が受けた雨水は水切りの先端で切れて、外壁を伝うことなく地面に向かって落ちていきます。
塗料の性能だけで汚れを防ぐのではなく、雨仕舞いをどう考えるかを駆使して構造を少しくふうしてやることで、汚れにくい外壁を作ることができるのです。