
塗装がくっつきにくい難付着サイディングの塗装事例をご紹介しています。
2001年頃を境に難付着サイディングが出始めて20年、塗り替え時期に入って来てますが、普通に塗装するとふくれたりはがれたりするので注意が必要です。
難付着サイディングボード
難付着サイディングの見分け方についてはこちらのページで詳しく説明しておりますのでご参照ください。
こちらの画像はサイディング表面の塗膜コーティングがはがれている画像です。真夏に日焼けした肌の皮がむける状態によく似ています。
元々、難付着だったサイディングにコーティングしてあった塗膜(塗装の膜)が経年劣化ではがれてしまったものです。これを脆弱層(ぜいじゃくそう)といいます。
新たに塗装するにはこの脆弱層をできるだけ除去しなければなりませんが、高圧洗浄だけではすべてを除去することはできず、残ってしまいます。
素地調整
高圧洗浄で脆弱層はかなり取れるのですが、それだけでは不十分なので、全面をサンドペーパーなどで研磨します。
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電動サンドペーパーで研磨します
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目地の中もしっかりと研磨します
サイディングボードの表面は凹凸形状になっていますから、凹んでいる部分の目地の中もしっかり研磨して清掃します。
この段階から、一般的なシーラーという下塗り材を塗るとどうなるか実験してみました。
下の画像は、よくくっつく(密着する)という別々のメーカーのシーラーを3種類塗って、乾燥硬化させてからテープを張ってはがしてみた画像です。
ガムテープののり面に塗膜がくっついていますよね。これは3種類のシーラー共くっついていないことになりますから、これらのシーラーは使ってはいけないということと、このままの状態では塗装してはいけないということになります。
難付着サイディング専用プライマー
一般的に「よくくっつきますよ」というシーラーを使ってもこの結果ですから、何でもメーカーさんの言うことを鵜呑みにしてはいけないということになります。
そこで、研磨しただけでは弱い塗膜(脆弱層)が残ってしまうことがわかったので、この弱い塗膜(脆弱層)をできるだけ剥がすために、ガムテープを張って剥がすことにしました。
その上から最初の3種類のシーラーとは違う別の専用プライマーを塗って、同じように密着試験をおこなった後の画像です。
この方法で残った塗膜を剥がしてから専用プライマーを塗れば密着することがわかったので、いよいよ実行に移します。
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サイディングに布製ガムテープを張ります
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しっかり押さえてガムテープをはがします
これで残っていた塗膜を除去できたので、ようやく下塗り(シーラー)工程に移ることができます。
ここまで来るのに本当に大変ですが、実験しないで塗装するのと実験してから塗装するのとでは安心感が全然違います。
もちろん、これなら絶対に剥がれないということではありませんが、はがれるリスクはかなり低くなります。
この現場では専用のプライマーは水性より弱溶剤型の方が良い結果が出ました。
弱溶剤は若干シンナーのにおいがしますが、そこは我慢するしかないですし、近隣にもあらかじめ周知しておけば、未然に臭いのトラブルは防げるのではないかと思います。
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難付着サイディングのシーラー塗布中
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難付着サイディングのシーラー塗布後
上塗りはどんな塗料が良いか
下地処理の方法と下塗り材の選定が最も重要なので、ここまでくれば上塗り材は特に制限はありませんが、おすすめは遮熱機能の付いた上塗り材です。
遮熱機能がついていない塗料を塗るなら、仕上げの色は薄い色を選ぶようにすると熱を反射してくれるので、より安心できるのではないかと思います。(白は熱を反射するが黒は熱を吸収する)
難付着サイディングが塗り替え時期に入ってきている時代なので、はがれるトラブルが増えてくるのではないかと予想しますが、このような特殊なサイディングボードの塗り替えは、経験のある塗装店か研究熱心な塗装店にご相談されることをお勧めします。