品川真一
雨漏りは難しいというイメージがあると思います。「他社に補修してもらったけど止まらないんですぅ~」と言われると、さらに難しいんだというイメージを持ってしまうものではないでしょうか。
私は雨漏りの専門家というスタンスで活動しはじめて早20年になりますが、これまで広島県内だけでなく北は北海道南は沖縄まで、全国からの雨漏り相談をお受けし調査鑑定して来ました。
今日はそんな私がどうやって雨漏り鑑定しているかを記事にしておきますので、参考になればと思います。ただし、めんどくさいので動画にはしません!(笑)
■他社に頼んだのに止まらなかったと言われた時
他社は先入観にとらわれているだけ
他社は知識が不足しているだけ
他社は見落としているだけ
他社は難しいと思う領域から抜け出せていないだけ
私は〇〇だけ、という風に解釈します。もしも自分が携わることになって原因を究明できたなら、他社との差はその見落としに気付けるか気付けないかに過ぎません。差はたったそれだけなので、それ以外の事は考えないようにしています。
例えば、他社はド素人だとか、レベルが低いだとか、私はそんなことは一切思いません。そうした他との比較は、驕りから油断が生まれるだけなので、ハナから切り捨てます。
■図面と現状を比較する
図面に記載してある通りに造られているとは限りません。図面通りになっているかどうか、詳しくにらめっこします。特に矩計図に着目して躯体の断面構造つまり、どのような層によって造られているかを見ます。
例えばタイルは直貼りか?あるいはコンクリートの上にモルタル層が存在しているか?など・・・。この辺は計画図面上で計算されていることなので、現場で変更になることはほとんどありませんので。
■雨水になってみる
私は自分が雨水だったらどういうルートで浸入したいか?を考えます。自分が雨水になって浸入してみます(笑)どういうルートで浸入するかではなく、自分だったらどういうルートで浸入したいか?を考えるのがポイントです。
「さて、どこから浸入してやろうかな?おっと、ここが甘いな。これじゃあ簡単に浸入できてしまうよ。ほらね。さあ見抜けるかな?」雨水はこんな風に嘲笑ってるんじゃないでしょうか。
いかに建物への雨水の浸入を防ぐかというゲームをしていると思えばいいんです。通常の雨で浸入しなかったらステージ1クリア、台風時の横殴りの雨で浸入しなかったらステージ2クリア、100ミリの大雨で浸入しなかったらステージ3クリア、10年間雨水の浸入を防ぐことが出来たらゲームクリア、こんな感じです。
自分が雨水になって考えているという人を私は未だ一人も知りませんが、犯人を追いかける時には自分が犯人になってみるのが近道です。ちなみに、犯人は警察に追われたら、最初の交差点を左折する習性があるそうです(笑)
■小さな可能性を切り捨てない
あそこから浸入することはないだろうと簡単に切り捨てないことです。可能性が少しでもあるのなら私は疑ってかかります。可能性が高い方へエネルギーを注ぎながら、可能性が低い方を潰して行きます。
原因かもしれない箇所をピックアップしたら優先順位を付けます。例えばABCと3箇所が疑わしい場合、A60%、B30%、C10%のように順位をつけておいて、可能性が高いAにエネルギーを注ぎつつ、その間にCを潰します。こうするとAかBに絞られてより再現できる可能性は上がるわけです。
ABCすべてに同じエネルギーを注いでいる方が多いのではないかと思いますが、これでは調査に時間がかかり過ぎてしまいますし、いつまで経ってもスキルアップ出来ません。
■絶対にわかると信じる
私は数多くの県外の雨漏り現場に出向いて行って、難解な雨漏りの原因究明して帰ってくるという武者修行を長年やって来ました。普通なら、原因がわからなかったらどうしよう??と不安になるのではないかと思いますが、私の場合は電車の乗り換えが上手くできるかということだけが不安でした(笑)
絶対に原因究明できると思っているので心配で眠れないなんてことはありません。むしろ新幹線に乗れることに興奮して眠れなくなります。精神は修学旅行に行く前日の小学生レベルですね(笑)
そもそも、簡単なメカニズムの雨漏り相談なんて来ないんです。屋上防水が劣化して雨漏りしているのであれば屋上防水を改修すれば雨漏りは止まりますが、これは雨漏りの専門家の仕事ではなく防水屋さんの仕事というか、防水屋さんで消化できることです。
雨漏りの専門家と雨漏りを止める改修工事をしている人は全く違います。雨漏り119や雨漏り鑑定士は雨漏りの専門家です。防水屋さん塗装屋さんが孫悟空だとすれば、雨漏り119はスーパーサイヤ人悟空です。
そして言うなれば、最初からスーパーサイヤ人を求めてはいません。居るわけがないんです。孫悟空を、ベジータをスーパーサイヤ人に育てる。私はある日突然雨漏りの専門家として世の中にデビューしたわけではありません。
私自身は元防水職人です。防水職人のレベルでは世の中の雨漏りを退治できないと痛感して来たので独学で雨仕舞いを勉強してきました。板金工事の考え方や防水工事の考え方は似て非なりということも知りました。
最後に・・・
雨もり調査の翌日はかなり疲れます。まるでジムに行った翌日のように全身が重くダルく感じます。それだけ集中しているので全エネルギーを雨漏り鑑定に注ぎます。
とまぁ、偉そうに言うことではありませんが、私はこんな風に雨漏りを鑑定しています。雨漏りが難しいというのは、メカニズムを究明するのが難しいのではなくて、どうやって解決させるかが難しいのです。
なぜなら、根本解決を図るために50万かかるとして、50万の工事を行って良いのなら難しくないのですが、予算が20万しかないと言われたらどうでしょうか?20万で雨漏りを止めなければならないのです。これは難しいです。
いくらかけてもいいから完全に直して欲しいと言われるのが理想ですが、そうもいきませんよね。こうしたことから再発してしまうトラブルに繋がってしまうのです。
これからは、雨漏りのケース毎にこうした工事が必要でいくらかかるというようなパッケージを作って行く必要があるかもしれません。
今日はいつもと違うまじめなブログになってしまいましたが、私は基本はまじめなのです(笑)やることはぴしゃっとやって面白おかしくやるというのが私スタイルです。
ではまた~