品川真一
たまには技術的な話をしましょうかね(笑)昨日、あるマンションで排水桝が壊れていて大きなひび割れがあることから地盤が沈下している可能性もあるので枡の交換を提案したのですが・・・
なんでそんなことをするのか?枡を無くして配管を直で繋げば安く済むじゃないか?と言われました^^;
確かに、枡を交換するには土間を壊して掘削する必要があるので、枡を潰して配管を別ルートで直で繋げば良さそうなものですが、そもそもなぜ敷地内に排水桝がたくさんあるのか、その理由を知っておく必要があります。
排水桝は点検や清掃を目的としています。次に、コーナーなどの曲がり部分に枡を設けることが多いですが、これは配管の詰まりを防ぐためです。さらに枡があることでニオイが逆流するのを防いでくれたり、地震の時に配管が損傷するのを防ぐ絶縁の役割も担っています。
建物が受け止める雨水をドレンに集めて樋で枡に落とし、配管に配って最終的には道路に埋まっている大きな土管に流すわけですが、大雨で土管が満タンになれば排水できなくなるので樋を逆流して雨水が溢れることも無きにしも非ずなんです。
例えば、寄棟の家には四方角に竪樋が存在するので、ハウスメーカーの家では少な4~5本の竪樋が存在し、比例して枡も存在します。この竪樋を2本にして排水桝も2カ所にしたらどうなるか?
枡が無いということは竪樋を地中の中に埋めてコーナーで曲げて曲げて配管しなければなりませんから、詰まったり破断した時に地面を掘って故障個所を探さなければならなくなります。これはクレバーではありません。
故障した箇所が目で見える部分だから修理コストが安く済むわけで、地中に埋まっている部分は掘りながら探して行かなければならないわけですから時間もコストもかかります。
問題が起きてから対処すれば良いという考え方もあると思いますが、過去に問題が起きたことを集約して対策を講じる、こうしておいた方が良いというやり方をする、そうやって進化していくものです。
ですから、現状ある排水枡を潰してしまうというのはナンセンスなのです。上の写真の枡を無くして樋と配管を直で繋ぐイメージをしてみてください。鋭角に曲がっている配管のところが詰まりそうですよね。
今の時代雨の降り方が尋常じゃないわけですから、排水桝を増やすというのならまだしも、現状から減らすというのは一般的にもあまりやらないと思います。手抜き業者ならやるかもしれませんが・・・
とまぁ、これは私の見解なので違う考え方の方もいらっしゃると思いますし、最終的に決めるのは発注者ですから発注者が決められた通りのことをやるかやらないかになりますが、いくら仕事とはいえ枡を減らすという工事はプロとして請け負いたくないというのが本音です。
あと、プロの意見はたいがい聞いた方が良いです(笑)プロの意見を無視するとたいてい碌なことが無いのが建築です。ご注意ください。
ではまた~