目地や窓周りのシーリング材、「傷んでいないから打ち替えなても大丈夫です」は本当?
このページでは、シーリングが傷んでいる部分だけ打ち替えて、塗装を行った物件の10年後がどうなったのかをまとめています。
シーリングが傷んでいる部分だけ打ち替えたら10年後どうなる?
外壁塗装工事を行う際はサイディング目地のシーリングも撤去して新しいシーリング材を充填する、いわゆる打ち替えが基本です。
劣化している部分だけ古いシーリングの上から新しいシーリングを擦って塗装する増し打ちや、傷んでいる部分だけ打ち替えてから塗装するのはお勧めしません。ここではそれぞれのやり方で10年後にどうなるかを実証しています。
下の画像は10年前に外壁を塗り替えたというお宅ですが、シーリングは全面撤去打ち替えせず、傷んでいた部分だけ打ち替えて塗装したものです。
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傷んでいる部分だけシーリングを打ち替えた10年後の状態(西面)
目地の半分より上がシーリングを打ち替えずにそのまま塗装した10年後、半分より下がシーリングを打ち替えてから塗装した10年後の状態です
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シーリングを打ち替えて上から塗装した10年後の状態(南面)
シーリングを打ち替えた上から塗装で保護した10年後の状態です。日当たりが良い南面の目地の中央が若干ひび割れています。
塗り残し
「北面と東面のシーリングは傷んでいないのでやらなくても大丈夫です」と、業者に言われたという方がたまにいらっしゃいます。
でも、10年後がどうなるかを見ればシーリング材の表面だけの状態で判断するのは危険だということがお分かりいただけるのではないかと思います。
実際にこのお宅のお施主様は、今回塗り替えしたいと思われています。それは塗装が傷んでいるからではなく、目地シーリングが傷んでいるからです。もしもシーリングが健全な状態であったなら、このお客様はこの度塗り替える必要はなかったかもしれません。
シーリングは見た目で判断したり、手で触ってみて弾力性の度合い等で判断するのは間違いです。施工して何年経過しているかで判断することをお勧めします。
露出シーリング材の耐用年数は一般的に5~6年と言われており、上から塗装で保護したシーリング材でも7~8年くらいが限界と思っておいた方がよいと思います。
外壁に小さな粒々が付いている
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外壁に小さなゴミが付着している画像
小さな粒々が無数に付着しています。これは塗装に使っていた小分け容器内にゴミが混入して、除去しないで塗装し続けたものです
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外壁にローラーの毛が付着している画像
ローラーは使いすぎると毛が取れて来ますが、その毛が外壁に付着したものです
そもそもシーリングの上から塗装していいもの?
シーリングを紫外線から守るために上に塗装をかける(シーリングの上も塗装する)という考え方があると思いますが、これは実際のところどうなのでしょうか?
各塗料メーカーは、【シーリングの上には塗装しないでください】と言っています。それは割れてしまうからです。
外壁に塗布した塗料は問題ないのに目地シーリングの上に塗布している部分が割れていたら、クレームの矛先が塗料の性質に向くのを嫌がるからです。
シーリングの上から塗布しても割れないようにするためには塗料を柔らかくすれば良いのですが、塗料を柔らかくすればするほど塗料の接着力が低下するので、外壁に他のトラブルが発生する可能性があります。
兎にも角にも、塗料メーカーはシーリングの上に塗装をかけることをNGとしているわけです。ではどうすれば良いのでしょうか?
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シーリング表面のひび割れ
シーリングの上から塗装したために塗膜が割れてしまっています
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目地が割れにくくする対策も無駄
目地が割れにくくするために微弾性フィーラー原液を2回塗った画像です。この後に仕上げ塗装すれば割れにくくなるという説がありますが、割れてしまうのでお勧めしません。
高耐久シーリング材を使う
2014年頃にオート化学工業が30年耐久のシーリング材を発売しました。これには驚きました。何枚も張り重ねてやっと10年持つ防水でも30年は持ちませんから、たかが1㎝x1㎝のボリュームのシーリングで30年耐久とは信じられませんでした。
現在は、コニシやシャープ工業なども高耐久シーリング材を発売しており、大同防水も標準スペックとして採用しています。
シーリングはゴムですから、柔らかいゴムの上に硬い塗料を塗ると割れるのは当然です。だからシーリングの上には塗装しない。するとシーリングは紫外線がモロに当たりますから早く傷みます。
そこで高耐久シーリング材を使えば、上から塗装しなくても長持ちするというわけです。これなら目地部分が割れたというクレームにもなりません。
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高耐久シーリング材
外壁塗装が終わったら外壁の色に最も近い色の高耐久シーリング材を目地に充填します
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高耐久シーリング材施工完了
均し押えたらテープを剥がして完了です。外壁とぴったり同じ色にはなりませんが、気にならないレベルで美しく仕上がります