テラスハウスの特徴と問題点
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境界壁を共有する複数の戸建て住宅が連続している広島市安佐北区真亀にあるテラスハウスです。
大成パルコンのプレキャスト・コンクリート(工場で作ったコンクリートの板を組み立てている)の頑丈な家ですが、お隣と壁がくっついているため屋上も共有しています。
もしもどちらか一方が雨漏りしたとすれば、もう片方の屋上にも一部手を加えなければならないので、やっかいです。
テラスハウスの雨漏り
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真亀テラスハウスの雨漏りには特徴があります。プレキャスト・コンクリートいわゆるPC造は工場で作ったコンクリートパネルを組み合わせてある建物なので、所々にジョイント(板と板のつなぎ目)があり、シーリングで止水してあります。
たとえば地震などで建物に揺れが生じた場合は、この揺れの応力は目地部分に逃がされるので、外壁パネルにクラックが発生しにくい構造です。その反面目地シーリングに負荷がかかってしまうので、破断したり界面剥離を起こします。
すると目地部から浸入した雨水は室内に漏れてしまいますが、その構造の特性上雨漏りの被害は広範囲に渡りるか、あるいは大きくなってしまいます。
テラスハウスの屋上防水改修時期
テラスハウスの片方が防水改修を行った場合、もう一方の屋上を残してしまうと相互の防水改修時期がずれてしまい、その都度それぞれのお宅が改修を行っていくことになります。
このサイクルが永久的に続いてしまうのはお互いにストレスですし、その都度我慢しなければならなくなってしまいます。
よってテラスハウスの防水改修はお隣さんと同時に行うことがベストといえます。
テラスハウスの屋上防水改修
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平成28年現在では真亀テラスハウスは築40年程度で、リノベーション後に中古物件として購入される方もいらっしゃると思いますが、その辺はあらかじめ注意が必要です。
屋上に施工されている防水は断熱塩ビシート防水機械式固定工法が多いですが、中にはアスファルト防水やウレタン塗膜防水、FRP防水が施工されていることもあるようです。問題は屋上防水が性能を満たしているかどうか?です。
このテラスハウスの屋上防水、どんな種類の防水層であっても、重要なのは端部の納まりなのです。一見問題がないように見えても、実は肝心な部分がダメだったりします。
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上図では端末押さえ金物から浸入した雨水が目地部を通り建物内に浸入している痕が見えますが、別の物件はどうなっているかというと、やはり押さえ金物の裏側に雨水が浸入していることがわかります。
防水には必ず端末押さえが必要ですが、そもそも、せっかく防水シートを張ったのにわざわざ防水に穴をあけることになります。これは雨水の浸入を防止するという観点から言えば本末転倒な話です。
笠木の防水端末の納め方
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防水の弱点は端末です。一般部分よりドレン周りや立ち上りの端部が弱点となりやすいので、そこは補強しないといけません。最も理想的な納め方はアルミ笠木を被せる方法ですが、コストもかかります。
そこでアルミ笠木を使わないで防水端末の弱点を無くせるのが塩ビ鋼板を用いた塩ビシート防水による改修です。端末に使う塩ビ鋼板は先に留めつけるのでビス貫通部がシートで隠れるように納めることができます。