
積水ハウスや大和ハウス、へーベルハウスなどのハウスメーカーの屋上防水やベランダ(バルコニー)の防水改修リフォームには、重要なポイントがあります。
このポイントを理解していない防水業者さんが多く、防水をやり替え補修したら雨漏りするようになったというケースも少なくはありません。このページではハウスメーカーの防水補修のポイントについてまとめてみます。
目 次
ハウスメーカー住宅の防水改修時のポイント
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ハウスメーカー住宅の屋上防水とベランダの防水は、塩化ビニル樹脂系シート防水機械式固定工法(塩ビシート防水絶縁工法または塩ビ機械固定と呼ぶ)が採用されています。
工場で生産した塩ビシートを現場で貼り合わせて防水層を形成するのですが、全面を下地に密着させる(ボンドで貼る)のではなく、下地にアンカーで固定したディスクプレートと塩ビ被覆鋼板に塩ビシートを溶着させる工法で、床面のほとんど部分は防水層を下地から浮かせた状態(ボンドで貼らない)で施工してあります。
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よく見受けられるのが、立上りコーナー部分のシートの膨れです。
塩ビシートが自然に膨れてくるように見えますが、これは熱の影響で塩ビシートが縮んでしまうために起こる現象で、何もしていないのにシートが膨れ、放っておくと破断してしまいます。
改修時にはこの特性を補強することが重要になります。
塩ビシート防水機械式固定(絶縁)工法のメリット
塩ビシート防水機械式固定工法のメリットは、
1.下地から湿気が上がって来ても防水層が膨れない
2.地震などで建物が揺れ下地が大きく動いたとしても防水層が破断しにくい
というメリットがありますが、湿った空気を外部に逃がす脱気筒が設置されていないため、目的は2.の防水層が破断しにくくするためと考えられます。
塩ビシート防水機械式固定(絶縁)工法のデメリット
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塩ビシート防水機械式固定工法のデメリットは、
1.防水層が破れると水が全面に回ってしまう
2.傷や衝撃に弱いというデメリットがあります。このデメリットを補強するため、サーキュレーションブロック(保護パネル)と呼ばれる、断熱性能を有した保護パネルを防水層の上に敷いて衝撃から保護したり、ベランダを歩くときの養生材の役割を担っています。
このサーキュレーションブロック(保護パネル)は取り外しにくい構造になっているため、掃除がしにくく、衣類の糸くずや砂埃などが隙間から入って汚くなってしまうのが気になるのではないかと思います。
このサーキュレーションブロック(パネル)は、紫外線から防水層を守ってくれるので、保護パネル下の防水層は汚れは溜まっていても、あまり傷んでいないことが多いです。
ハウスメーカー住宅の屋上ベランダ防水改修方法
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築10年~15年くらいのハウスメーカー住宅のベランダ防水は、全面改修しなくても部分補修だけで済ませることができます。
まずサーキュレーションブロック(保護パネル)のおかげで防水層が劣化していないことがほとんどなので、掃除をしてあげて、弱いところを補強するだけで十分使うことが出来ます。
手順1.サーキュレーションブロックを撤去する
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まず、サーキュレーションブロックを丁寧にとりはずしていき、防水層を露出させます。防水層が露出した状態で清掃をし、付着している汚れを洗浄します。
この時に防水層だけでなく保護パネルも一緒に洗浄します。汚れが取りにくい時は、デッキブラシでこすりながら汚れを落としていきます。
手順2.弱いところを補修する
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表面が乾いたらシート表面をくまなくチェックし、穴が空いているところがあれば、パッチワークで補修します。
塩ビシートと塩ビシートは溶着する(溶かす)ことで一体化するのでパッチワーク補修で十分です。
手順3.遮熱トップコートを塗る
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塩ビシートは熱に弱いのが弱点です。また汚れが付着しやすい特性もあります。
塩ビシート専用の遮熱保護塗料を塗ることで熱の影響を押さえ、かつ汚れが付着しにくくなります。
弊社では、塩ビシート防水の場合はこの遮熱トップコート塗りを標準仕様としています。
手順4.保護パネルを復旧する
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遮熱トップコートが乾燥したら保護パネルを復旧します。ここでのポイントは、保護パネルは元の通りに戻すということです。
同じ寸法のものであっても、適当に組み立てて行くときちんと納まらないことがあるので、取り外す際に番号を打ったシールを貼っておくと良いと思います。
画像のように新品ピカピカになります。
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いかがでしたでしょうか?
保護パネル復旧弊社は防水屋ですから、全面改修して貰った方が売上にも繋がるわけで良いのですが、お客様にとって必要のない工事を斡旋するべきではないと思っています。
全面改修しなくても部分補強で済むならその方が良いと思うのです。創業45年の大同防水だからこそ、部分補修で持たせる提案ができると自負しております。