FRP防水は特殊な防水であるため施工時には注意が必要です
このページではFRP防水改修時の注意点についてポイントを説明しています
FRP防水を施工するときは
FRP防水は紫外線の影響で劣化するため10~15年サイクルでメンテナンスが必要ですが、施工するときはいくつか注意点があります。
FRP防水はその他の防水工法とは違って密着しにくい性質を持っているので、安易にトップコートを塗り替えれば良いとかウレタン防水を被せればいいと思っているとトラブルが発生するので注意が必要です。
このページでは、FRP防水施工上の注意すべきポイントをまとめてますので参考にして下さい。
FRP防水施工中のにおい
FRP防水の特徴としては、まずにおいです。他の防水工法とは違って施工中は独特なにおいがします。
FRP防水はガラスマットにポリエステル樹脂を含侵させるのですが、その時にスチレン臭が出ます。このスチレン臭は都市ガスのようなにおいに似ていると言われています。
スチレン臭を吸い込みすぎると涙や鼻水が止まらなくなったりすることがあるので、特に敏感な方はFRP防水施工中は外出されることをお勧めします。
FRP防水施工中の換気
FRP防水工事施工中は外出されるのがベストです。例えばベランダのFRP防水を施工するとすれば、お家の中を通ってベランダに出て作業するという条件はおすすめしません。
なぜなら窓を開けることになりますし、室内を通るときにも材料を運ぶのでにおいが出てしまうからです。
二階のベランダであれば庭などから梯子をかけて外からベランダに出入りできるのでおすすめです。こうすれば室内ににおいが入り込むことが少なくなります。
FRP防水のにおいは硬化すれば消えるので、注意が必要なのは施工中だけです。工期は1~2日で完了できます。
とはいえ、日中は外出されていて帰宅したら何かにおうと感じたら換気をされた方が良いです。
粉塵の発生
FRP防水の上から新たに防水を被せようとしても密着しにくい性質があるので、全面研磨しなければなりません。すると研磨粉が発生します。
この研磨粉はガラスマットと硬化したポリエステル樹脂の繊維なので、吸い込んではいけません。作業員は防塵マスクを着用してから研磨作業を行います。
また研磨粉はベランダの手摺り壁やサッシにも付着してしまうので、マスカー養生が必要です。マスカー養生を張っておくとマスカー表面の静電気で粉塵を吸着してくれるので、施工後に丸めて捨てれば粉塵の始末が楽になります。
近隣への周知
FRP防水は勝負が速い(工期が1日~2日で施工できる)のが特徴ですが、においがや粉塵が発生する工事になるので、事前に近隣へ周知しておく必要があります。
足場を組まずに短期間で終わる工事だからと言っても、特ににおいについては近隣への周知が重要になって来ます。
何も周知せずFRP防水工事を行うと近隣から苦情が出る可能性が高いので注意が必要です。
FRP防水施工後に水が溜まる
FRP防水施工後によくある問い合わせが降雨後に水が溜まるようになったというケースです。
そもそもベランダは水勾配がほとんどフラットなのでフラットルーフと呼ばれているわけですが、ここで言う水が溜まるようになったというのは、防水を施工して水勾配が悪くなったということではなく、水が弾かれてベランダ表面に残っている状態のことを言われることが多いです。
これはFRP防水トップコートにワックス成分が入っているため、しばらくは雨を弾いてしまうため、水が床面に滞留してしまうのです。
この状態を見ると、確かに水が溜まっているんだけど?と言いたくなると思いますが、この水を弾く現象はしばらくすると埃が付着して弾かなくなるので改善します。
FRP防水施工後初期にだけ起こる現象ですので心配は要りません。
表面の段差やムラ
FRP防水はフラットにきれいに仕上がる防水工法です。画像の様にミミズ腫れのような段差があるのはガラスマット同士を重ねたジョイント部ですが、これは施工不良です。
成形物のガラスマットは工場でロール状に裁断してありますが、長手方向のガラスマットがむしってある部分を重ね合わせるように施工します。
この部分のことを耳(みみ)といい、両耳タイプ、片耳タイプ、耳無しタイプがあり、両耳タイプか片耳タイプを使用するのが一般的です。
耳無しタイプのガラスマットを重ねるとミミズ腫れのような段差になってしまうのです。
また、三日月型・扇形の凹みがある場合はおそらく足跡です。FRP樹脂が完全に硬化していない部分を踏んで上層の施工をしたたためにマットが凹んでしまったケースです。
ムラについては、表面の粒々が均一になっておらず、粒々がたくさんついている部分と少ない部分があり、ムラに見えてしまう現象で、これはトップコートの塗り方が下手な場合に起こります。
全国の現場を見て来て分かったことですが、関東はFRP防水が上手なのに九州はFRPが上手ではないという印象があります。地域によって得手不得手があるFRP防水の施工は1級技能士に依頼されることをお勧めします。