このページでは、クリアー塗装が出来るのか、出来ないのかを見分けるポイントと、クリアー塗装の役割についてまとめています。
目 次
クリアー塗装をしたい理由
クリアー塗装をしたい理由は、既存のサイディングの模様(柄)をそのまま残したいからではないかと思いますが、いくつか注意点があります。
1.現状がさほど劣化していない状態であること
2.築年数が浅いこと(7~8年より浅いと安全圏)
3.チョーキングが見られないこと
クリアー塗装をするにはこの3つの条件を満たしておく必要があります。
クリアー塗装が出来ない色褪せ
クリアー塗装が出来ない状態は、外壁が色褪せてしまっている場合です。
左の画像は築20年の高意匠サイディングです。クリアー塗装をして既存の模様(柄)を残したいところですが、残念ながら色褪せてしまっているのでクリアー塗装はできません。※白っぽくぼやけて見える部分が色褪せです
このままクリアー塗装をするとムラムラに仕上がってしまうので、色褪せていると色を付ける通常のカラー塗装で隠すしかありません。
クリアー塗装が出来ない出隅の劣化
クリアー塗装が出来るか出来ないかの判断は出隅の状態でも判別することができます。
右の画像は出隅が剥がれてしまっている高意匠サイディングです。出隅は一般サイディングをカットしたものを接着剤で張り付けて、コーナー部分をタッチアップ塗装しているので、コーナー部分が最も早く劣化します。
こちらは築年数18年の外壁ですが、出隅は劣化しているものの、一般部のサイディングの状態は良好で塗装しなくても良い状態でした。
出隅が劣化しているのにクリアー塗装したらどうなる?
出隅が劣化しているからクリアー塗装はできませんというのではなく、出隅が剥がれている上からクリアー塗装すると、剥がれたままの状態でコーティングすることになるので見た目が良くないですということです。
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出隅が劣化した上からクリアー塗装したケース
出隅が割れている個所や若干塗装が剥がれている上からクリアー塗装を塗ると透けて見えてしまいます
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出隅部分だけ塗装補修したケース
サイディングはクリアー塗装もせず出隅だけ塗装することもできます
高意匠サイディングにもグレードがある
一般的に、クリアー塗装を行う場合は築7~8年目の早い段階でコーティングした方が良いと言われていますが、もし7~8年目にクリアー塗装を行うとしたら、外壁塗装工事を7~8年目で実施することになります。
さすがにそれは早すぎるのではないかと思いますが、ご予算的に余裕がある方は早めに実施されても良いと思います。
ただ、築年数はひとつの目安であって、早めに施工した方が安全ですよということなので、12年目でも、あるいは15年経っていてもクリアー塗装が出来る状態であればやってもいいのです。
そもそも、サイディングにもグレードがあり、高耐久サイディングは最初から高耐久クリアー塗装が施してあります。つまり、高耐久コーティングが施されていないサイディングを長持ちさせるために、クリアー塗装をしようとしているわけです。
ですから極論は、新築時にサイディングを張った時点でクリアー塗装をすれば一番良いわけですが、そらなら最初から高耐久クリアーコーティングが施されているグレードのサイディングを選べばいいことになります。
自分で判断できないという方は大同防水に判断をお任せください。
クリアー塗装とカラー塗装はどっちがいい?
クリアー塗装とカラー塗装はどちらがいいのか?については、そもそも目的が違うのでどちらが良いかはお施主様のお好み次第です。
既存のサイディングの模様が気に入っていて残したいのであればクリアー塗装が良いでしょう。
クリアー塗装とカラー塗装どちらが長持ちするか?であれば、クリアー塗装の方が長持ちします。なぜなら紫外線をカットしてくれますし、顔料が入っていないのでチョーキングしないからです。
こう言ってしまうとクリアー塗装の方が良さそうだと思われるでしょうが、クリアー塗装とカラー塗装は性質が全く異るため、一概にそうとは言えないのです。
例えば、クリアー塗装の目的はUV(紫外線)をカットして長持ちさせることです。紫外線はカットしてくれるのですが、熱(赤外線)を反射することは出来ません。つまりクリアーには遮熱機能は付いていないということです。
サイディングは熱を持ちやすい材質で、熱収縮を起こします。その収縮過程で目地のシーリングが引っ張られたり圧縮されたりを繰り返すことでシーリングが劣化していきます。
シーリングを長持ちさせるという観点では、クリアー塗装をした外壁よりカラー塗装(遮熱塗装)をした外壁の方が勝ります。
サイディングの模様を残したいのか、シーリングを長持ちさせたいのかでクリアー塗装かカラー塗装かを決めるのがポイントです。
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クリアー塗装7年後のシーリング
クリアー塗装は艶もあり健全な状態ですが、目地シーリングが切れています。クリアー塗装は遮熱機能がないので熱収縮が起こっていると考えられます
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遮熱塗装(カラー塗装)7年後のシーリング
同じお家の遮熱塗装をしたサイディングの目地シーリングです。シーリングは健全な状態で遮熱塗料がサイディングの熱収縮を抑えていることがわかります
クリアー塗料の使い方
大同防水が考えるクリアー塗装は、下層の塗膜を長持ちさせるために塗るものだと考えています。
通常の外壁塗装を行った最終工程にクリアーを塗ると耐久性が延びますし、特に外壁の1.6~1.8倍速く劣化すると言われている屋根塗装の寿命を延ばす目的で最終工程にクリアーを塗ることもあります。
あるいは、雨樋などの付帯部を長持ちさせるために最終工程にクリアーを塗装することもあります。ですから、クリアーの塗膜とカラーの塗膜のどちらが長持ちするか?ということで考えるのではなく、クリアー塗装はカラー塗装を長持ちさせるものと考えられてはいかがでしょうか。
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屋根塗装の最終工程にクリアーを塗る
屋根を塗装した後にクリアーを塗ると屋根塗装が長持ちします
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雨樋の最終工程にクリアーを塗る
雨樋を塗装したあとにクリアーを塗ると長持ちします